看護師さんの口腔ケアと、歯科が行う専門的口腔ケアの違い
こんにちは。六本木ルアナ歯科 訪問部の宮本幸奈です。
在宅医療の現場では、看護師さんが日々お口の清掃をしてくださっています。
スポンジブラシで汚れを拭ったり、保湿ジェルを塗ったり、義歯を洗ったり。
その丁寧なケアのおかげで、患者さんの口の中が清潔に保たれ、感染や誤嚥のリスクを減らすことができています。
一方で、歯科が行う「専門的口腔ケア」は少し違います。
歯科では、単にお口をきれいにするだけでなく、“口の機能を守る”ための医療的なケアを行います。
看護師さんが行う口腔ケアとは
看護師さんが行う口腔ケアは、清潔を保つことと感染を防ぐことを目的としています。
日常のケアとしてとても大切で、患者さんの快適な生活に直結します。
看護師さんが行う主なケア内容
- スポンジブラシや吸引装置を使った清掃
- 乾燥予防のための保湿
- 義歯の洗浄・保管
- 舌や粘膜の清拭、口臭ケア
これらは“清掃中心のケア”であり、日々の変化を早く見つける力が看護師さんの大きな強みです。
痛み、出血、口臭などに気づいた時点で歯科に繋げることで、早期対応が可能になります。
歯科が行う専門的口腔ケアとは
歯科医師や歯科衛生士が行う専門的口腔ケアは、治療を兼ねたケアです。
歯や歯ぐき、義歯、粘膜の状態を診ながら、医療的なアプローチを行います。
専門的ケアで行う主な内容
- 歯石除去(スケーリング) 超音波スケーラーなど専用機器を使って、バイオフィルムや歯石を除去。 肺炎関連菌の温床を減らし、誤嚥性肺炎の予防に繋がります。
- 歯面清掃(PMTC) 歯ブラシでは落とせない汚れを除去し、口腔内のpHバランスを改善。
- 義歯の調整・修理・新製作 ズレや痛みを改善し、咀嚼力・嚥下力・発音をサポート。
- 粘膜の観察と炎症管理 慢性刺激を早期に発見し、口腔がんリスクを低減。
これらは、一般的な清掃だけでは届かない“原因に対する医療的アプローチ”です。
看護師さんと歯科が連携するメリット
看護師さんのケアと歯科のケアは、どちらか一方では成り立ちません。
互いの専門性が補い合うことで、患者さんの健康を守ることができます。
- 看護師さん:日常の観察と早期発見
- 歯科チーム:診断・治療・機能回復
- ケアマネジャーさん:支援計画と情報共有
この連携があることで、
- 誤嚥性肺炎の発症率低下
- 食事摂取量の改善
- 栄養状態・ADLの維持
- 生活の質(QOL)の向上
といった成果が期待できます。
まとめ
お口を看ることは、単なる清掃にとどまらず、病気の早期発見や治療に役立ちます。
看護師さんの守るケアと、歯科チームの整えるケア。
その両輪が揃って初めて、“口から生きる力”を支えることができます。
六本木ルアナ歯科では、訪問看護師・ケアマネジャーの皆さまと連携し、
在宅でも安心して受けられる専門的口腔ケアを提供しています。



