11月14〜16日|口腔外科学会に参加して感じた「高齢者医療の今」
こんにちは。六本木ルアナ歯科訪問部の宮本幸奈です。
私は 日本口腔外科学会認定医 として、これまで多くの外科手術や周術期管理にも携わってきました。
そして、11月14〜16日に開催された日本口腔外科学会に参加してきました。
今年の学会では、外科手術・高齢者医療・在宅医療など、年々高まる高齢化社会への医療的対応について多くの発表があり、訪問診療にも直結する学びが多い3日間でした。

■ 外科手術の“適応年齢”が、確実に上がっている
今回特に印象的だったのは、
「高齢者への外科手術が当たり前の選択肢になりつつある」という現実です。
10年前であれば、
「80代後半の方に侵襲の大きい手術を行うのは難しい」
と判断されていたケースでも、
今では 80代後半〜90代でも外科治療が“検討の範囲”に入る時代。
背景には、
- 医療技術・麻酔・周術期管理の向上
- 健康寿命が延び、体力を保つ高齢者が増えている
- 高齢化に伴い、がん罹患数そのものが増加している といった社会構造の変化があります。
「高齢だから治療できない」時代では、もうありません。
■ 高齢者医療は、“諦め”から“最適化”へ
学会で繰り返し語られていたのは、年齢を理由に治療の質を落とさないという考え方。
患者さんの身体の状態を丁寧に見極め、
“いまの身体に合わせて安全にできる最適な治療”を選ぶことが大切であるという考え方。
外科領域では、
・多数の既往歴
・栄養状態
・多剤併用
・周術期の口腔管理
などが術後の回復に大きく関わり、
高齢者の口腔管理の重要性が改めて明確になっていました。
■ 口腔外科の知見は、訪問歯科に直結している
口腔外科認定医として学んできた知識は、
訪問歯科の現場でも大いに役立ちます。
訪問現場では、
- 嚥下機能の低下
- 栄養不良
- 多疾患・多剤併用
- 制限された診療環境 での口腔外科小手術
- 他職種連携の視点が求められます。
だからこそ、
病院口腔外科で培った評価力・リスク管理・全身の読み取りは、
“精度の高い在宅歯科”に欠かせない要素だと改めて感じました。
■ ルアナ歯科が目指す訪問診療
ルアナ歯科の訪問診療は、
「通えなくなったから何とかする」というものではありません。
“これからもお口を使い続けるための在宅歯科”
を理念に、
- VEによる嚥下評価
- リハ視点の義歯設計
- 全身状態に応じたケア
- 多職種連携 を軸に、患者さんとご家族の生活に寄り添った診療を行っています。
口腔外科の学びも、すべて“今の訪問歯科”に活きています。
■ まとめ
今回の口腔外科学会は、
「高齢者の医療は諦めるものではなく、最適化するもの」
というメッセージにあふれていました。
外科治療の適応年齢が上がっているように、
歯科医療も高齢者の“これからの人生”を支える存在でありたい。
口腔外科認定医として、
そして訪問歯科に深く関わる歯科医師として、
ルアナ歯科はこれからも
精度の高い在宅歯科
を追求していきます。

追伸:10年ぶりにオーベンの先生方と再会できました!



